キャッチャーというのは守備の要であり、捕手以外の野手は投手が投げるまではフェアグラウンド上に守備位置を取ることと定められているが、捕手は野手の中で唯一ファウルグラウンドに守備位置が定められており、投手や野手とは逆の方向を向いて守備する。
●150㎞以上の直球や、くせのある変化球、荒れ球などが飛んでくる。それをうまく捕球し、適切なサインを送る。
●味方のすべての投手の性質や球種を覚える。
●相手チームの打者の得手不得手を知る。アンパイアのくせなども読まなければならない。
●盗塁を刺す、けん制する、ファウルボールの対応、。
●一塁や三塁のカバーに走る。走者のブロック、守備位置を指図する。
●重く、暑苦しい防具をつけなければならない。
●過激なプレーに巻き込まれやすいし、バットが当たることも。
といったように、なにかと忙しいポジションです。
投手が投球動作を始め、その手からボールが離れるまで、捕手はファウルグラウンドに設けられたキャッチャーボックスに位置している必要がある。 さらに守備位置の関係上左投げは向いていません。
審判は捕手が構えた所にボールが来ればストライクと判定してしまう事が多いです。ストライクゾーンに来ても逆球だとボールと判定してしまう事が多々あります。それを逆手にとって体を動かさないキャッチングをしたり、低目の球も体を動かさ無い事で審判からの死角を作り出し、ストライクゾーンまでミットを上げてたり、様々な工夫をする捕手もいます。
■キャッチャーの構え方
⇒基本の構え

(1)両足を肩幅よりやや広めに平行に開き、つま先はハの字。
(2)中腰で構え重心は両足の親指のつけ根におきバランスをとる。
(3)構えたミットは投手の目標になります。ミットは人差し指が真上を向くようにタテに構えます。こうすることで捕球から送球への移行がスムーズになり、突き指の防止にもなります。
(4)リラックスし軽く両脇をしめ肩の力をぬきましょう。こうすることで、どんな球にも反応できます。ヒジは90~100度として、ミットの頭をやや前に倒し、手首を柔らかくしてストライクゾーンの最下部に構える。投球動作が完了するまで動かさない。
(5)送球や打球処理に対して機敏な動きが取れるように構えますが、極端にミットを動かして構えると球種やコースが打者にわかってしまうので注意しましょう。身体を移動して構える時は、動くタイミングも極力遅くして、動く範囲もストライクゾーンの半分が限度とします。
(6)どっしりと構える
パスボールは投球のリズムをくずし、野手からの信頼を失う。どこからのボールもしっかりとれるような体勢でかならず後ろにそらさないようにしよう。また、できるだけバッターに接近して構えて見ましょう。そうすることでバッテリー間の距離が縮まり投手が心理的に楽になり、さらにワンバウンドとファウルチップにも対応できる可能性が高くなります。さらに、ピッチャーから見えるミット面が大きいほどピッチャーは投げやすいものです。
■ランナーがいるときの構え
左ひじを膝より前に構え、右手を腰の辺りに添えておく。左側のボールを捕るときに左膝が邪魔になるのを防ぐためにも、肘を少し前に出しましょう。ピッチャーの投球を捕球したらすぐに右手をミットに手を入れてボールを握れるようにします。また、捕球後にすぐ左足を踏み出して送球でききるように、右足を半歩後ろに引いて半身になり、そしてややお尻を浮かせるように重心を上にする。そうすれば膝に邪魔されずにボールを捕ることができます。
■キャッチング
正しい捕球をすると、「スパーン」と心地よい捕球音が響き、投手は球の走りや回転に自信をつけることにつながります。それと同時に打者を威圧し、審判からの評価も高くなることでストライクの確立が高くなります。
(1)正しいミットの使い方
ミットはストライクゾーンにそって円形に動かし、つねにタテ向きで構えます。ヒザより高い球は人差し指が上に、低い球は人差し指が下を向けてキャッチします。ここを気をつけないとつき指等の恐れがあります。腕はやや前方に伸ばして捕球するとより捕球音が響く。
(2)ミットの構え方
オーソドックスなのは顔の前にミットを構えること。頭上にミットを向ける構えは、雨や太陽の光を遮りながら捕球できる。そして、腰の近くにミットを構えは特殊な回転でファンブルしそうな球の捕球をしやすいというメリットがあるが、もちろんどちらもオーソドックスな構えよりもそらす可能性が高い。
(3)正しいキャッチング
腕を伸ばし引き寄せながらキャッチング、そして指でつかむと同時にスピードを殺す。確実に捕るまで目をそらさない。ミットで球を追ったり引きながら捕球すると、投手や審判にストライクゾーンが明確でなくなる。つねに球をミットの中心で受けるようにすると捕球音も響き、捕球した球の状態が一定しているので球をつかみ出しやすい。
右左手の構えは突き指を防ぐため左手を後ろに隠してシングルハンドで構える選手もいますが、基本的には小指、薬指、中指はグーの時のように握り、親指を人差し指で隠し、ミットに添えるようにします。親指を隠すことによって突き指を防ぎます。 腕の可動域をしっかり把握し、どの向きでミットを出すか考えて見ましょう。
■スローイングについて
捕手のスローイングは「素早いステップとスローイング」「正確なコントロール」「鋭くクセのないバックスピンの送球」といった要素が要求されます。スローイングの際のテイクバックは投手の半分、球は耳のすぐ後ろで止まります。捕球と同時に右足重心を引き、右手を右耳のうしろにすばやく弓を引くように移動させ、左足は送球する塁の方向に向ける。
その状態から、送ホップステップ・スロー(右足のステップと左足を出しながらの送球)を行います。送球方向にステップし、腕はしっかりとまっすぐ振りぬきます。 また、送球姿勢が高いとバランスが崩れるので注意。
送球目標は塁上30~50㎝位のやや低めの高さで、内野手がタッチしやすいように走者の進入してくる側に送球します。少々肩が弱くても大事なのはフットワーク。一流のキャッチャーほど捕球からスローイングまでの動作がすばやいものです。
■正面以外のキャッチについて
高いボールであっても、体の前であれば、ボールを抑えるパワーが生まれますので必ず体の前で捕る習慣をつけましょう。高すぎるボールの場合にはしゃがんだままではなく、体ごと立ってボールと腕の位置を調節します。正面に入れるのは膝から20cm~30cm外側のボールまででしょう。ですが、遠くのボールは正面に入ろうとするとキャッチングが遅れてしまいますので、必ずしも体の正面で捕る必要はありません。それより、まず膝でボール方向に入り手を伸ばして捕球します。ボールが体より前にある時に捕ることが大切です。
■バウンドボールの対応
ランナーがいる場合、ワンバウンドのボールを後ろにそらしたり、横に大きくはじいたりしてしまうと簡単に進塁を許してしまうことになります。捕球できなくても、手前にボールを落とすことが出来れば、ランナーの進塁を防ぐことが出来ます。ワンバウンドのボールが来たら、両ひざをすばやく落とし、両ひざの間にすきまが出来ないようにミットを置き、背中を丸めて手前にボールを落とすようにしましょう。何があっても後ろにそらしてはいけません。とにかく前に落とせれば大丈夫です。
■暴投処理
暴投(ワイルドピッチ)を上手に処理するとバッテリー間の信頼が深まります。どんな球も止めてくれる捕手がいてこそ、投手は安心して大胆に攻めることができます。
(1)ショートバウンド
ワンバウンド処理の基本は、ボールをお腹の中に抱え込むようにして体で受け止めることで勢いを殺し、前に転がすことです。ボールを前に転がすには常に体を正面に向け、とにかく、後ろにそらさないことが大前提です。両ヒザを同時に落とし、両腕を脇腹につけボールを受ける面積を広く、股間を抜かれないようミットをおとし、右手はミットの後ろに添えます。
(2)両サイドのショートバウンド
両サイドへの迅速な動きはフットワークを使いましょう。体全体を移動するのではなく、球がそれた側のヒザと足をできるだけすばやく、それた方向のやや前方へ早く動かします。
川﨑宗則監修 実践守備マスタープロジェクト
